HSS型HSPにとって、サラリーマンは「生きづらい要素の詰め合わせセット」みたいな環境だ。
自由度は低い、上司の指示でやることが限定される、飽きても気軽に別のことができない、ルールでガチガチに縛られる……など。
恐ろしいほど生きづらい要素が詰め込まれている。
マクドナルドのバリューセットの逆バージョンだ。なんて嬉しくないセットなのだろう。今、こうして書いているだけで震える……

会社から給料をもらうために、満員電車に乗っている人もいれば、理不尽なことで怒られても耐えている人もいるはずだ。
お気持ちは理解できる。私もサラリーマンだからだ。
ただ、私はHSS型HSPでありながら、なんだかんだサラリーマン生活をそれなりに長く続けている。仕事もそれなりに楽しいと思えている。
本来であれば、私のようなタイプがサラリーマン生活を長く続けるのは無理ゲーだ。すぐにメンタルが疲弊する。
しかし、いくつかの要素が揃うことで、比較的安定してサラリーマンを続けることができている。
安定している理由のひとつは「副業」をしているからだ。そのことについては、別の記事で書かせてもらっている。https://note.com/embed/notes/na976f7b73f3e
今回は、それとは別視点で私なりの見解をお伝えしていきたい。
まず前提として、HSS型HSPは「繊細な刺激追求タイプ」ということを認識することが大切だ。
メンタルよわよわで傷つきやすいくせに、刺激を求めていろいろなことにチャレンジしたがる。矛盾した気質を内包しながら、その時々の好奇心に従って生きていく。
暴れ馬のような気質だと思ってほしい。

お気づきのとおり、暴れ馬を乗りこなすのは簡単なことではない。
何度も振り落とされて痛い目に遭う。それでも、私たちに与えられているのは、その暴れ馬しかない。なんとしてでも乗りこなすしか道はないのだ。
乗りこなすためのポイントは3つあると思っている。
1つ目は、職種選びだ。
どんな職種を選ぶのか。HSS型HSPにとって極めて重要なポイントになる。
適性に合っていない職種を選んでしまうと、かなり厳しい。
私は、ルーティンワーク・マルチタスク・事務作業・会計処理などが大の苦手だ。もう雑魚といっていいレベルである。

工場で部品を組み立てるルーティンワークや、飲食店スタッフのようにマルチタスクをスピーディーにこなさなければいけない職種を選んでしまうと、その時点で詰みだ。
私に限らず、HSS型HSPであれば似たような傾向があると思う。
私は、苦手なことを長く続けられるほど忍耐強くない。そのため、興味があることを中心にチャレンジしてきた。
私の場合は、最初に「言葉を使う仕事」に興味を持った。
「もっとうまく伝えられるようになりたい」
「もっと面白く伝えられるようになりたい」
そこからWebライティングに興味を持ち、気がつけばWebディレクターになっていた。「好きこそものの上手なれ」というが、本当にそんな感じのキャリア形成だったと思う。
基本的に、私は興味が湧いたものを片っ端からやってみるタイプだ。もちろん、うまくいったものもあれば、うまくいかなかったものもある。
ただ、不思議なことに直感に従って選んだものは、高確率で向いていることだった。
逆に、義務感や必要性に迫られて選んだものは、向いていないと思うことが多かったように感じる。
直感は意外と侮れない。
おそらく直感的にワクワクしないものは、HSS型HSPであれば続けられないと思う。

まずは、直感的に興味が持てる職種に取り組んでほしい。
興味が持てることは成長も早い。逆に興味が持てないことだと、歩みが亀のようになる。
向いていることに時間を投資できると、得意になり、次第に強みになっていく。強みを活かしていると成果が出せるようになり、周りからの評価も上がる。
結果、働きやすい環境が手に入るようになる。
もちろん「イメージと違う」ということはたくさん出てくる。しかし、そのなかにも確実に学びがあるはずだ。
トライアンドエラーで試行錯誤を繰り返していけば、確度はどんどん上がっていく。
2つ目は、会社選びだ。
働きやすさは、会社によって大きく変わる。同じ業界・業種であっても、会社が変われば文化も違う。
ガチガチにルールが決められている会社もあれば、自由度が高い会社もある。

あくまで傾向としてお伝えすると、会社規模が大きくなるほどルールが厳格になり、規模が小さいほど自由度が高くなる。
大企業にもなると、社員数が「万」という単位になる。なかには悪いことをする人も出てくる。それだけの人数を統率するためには、ルールは不可欠だ。
絶対とはいえないが、基本的にはルールや役割が明確に決められている。
逆にベンチャーや中小企業は、ルールや役割がふわっとしていることが多い。
私は、ベンチャー企業で働いた経験が長い。前職は、Webメディアのコンテンツ制作で入社をしたが、社長からガンガン別業務の依頼が振られていた。
ベンチャーとも呼べないスタートアップだと、業務はもっと乱雑になる。
「それは私の仕事ではありません」なんて言っていられる環境ではない。できることは、なんでもやる。そうしないと会社が回らないからだ。
薄給であることが多いし、残業や休日出勤だって多い。倒産リスクは高いし、福利厚生も整っていない。客観的に判断するとリスクはかなり高いといえる。
見方を変えると刺激的だし、責任のある仕事を任せてもらいやすい。成果が出せると昇進・昇格も早い。流れに乗れれば一気に出世することもある。
適性から外れた業務ばかりが振られる環境でなければ、HSS型HSPには合っている環境だと感じる。

私が今勤めている会社は、大手といえるほどの規模感ではない。「大きめの中小企業」という規模感だ。
創業してから年数が経っているので、細かいルールが決まっているところもあるが、全体的にはゆるいと思う。それなりに自由度も高く、HSS型HSPにとって働きやすい環境だと思う。
このように、サラリーマンは会社の規模によって働き方に違いが出やすい。
100%満足できる環境を選ぶことは不可能だが、自分に適した環境で働けると、ストレスが少なくパフォーマンスも発揮しやすい。
最後のポイントは人間関係だ。
会社員であれば、こちらで働く人を選ぶことができない。はっきり言って運ゲーだ。

嫌いな人に遭遇する確率をゼロにはできない。その前提で対策を立てていく必要がある。
私の個人的な考えにはなるが、すべての人と仲良くする必要はない。
苦手な人や嫌いな人とも仲良くしなければいけないと思うと、気持ちも萎えてしまう。
「サラリーマンだとそんなことも言ってられないのでは?」という反論が飛んできそうだ。たしかに、そういう側面はある。
しかし実際問題、すべての人と仲良くしなくても業務は回る。最低限、仕事に支障をきたさない程度のコミュニケーションが取れれば問題ない。
無理に仲良くしようとして疲弊するくらいなら、適度な距離を保って働いたほうがよいと私は考えている。
HSS型HSPが働きやすい環境を手に入れるためには、うまく立ち回る必要があるのだ。
ただ、度が過ぎるとワガママと捉えられてしまう。そうならないために、私はいくつか予防線を張っている。
具体的には「成果を出すこと」と「嫌いな人であっても業務に支障の出ない範囲でやり取りをすること」だ。
私は、入社したらスピードと成果を意識して仕事に取り組む。
どちらも当たり前のように感じるかもしれないが、意外とできていない人が多いように思う。
まず、仕事においてスピードは本当に大切だ。

任された業務に即対応することで「あいつは仕事ができる」というイメージを持ってもらえる。これは本当にでかい。
「仕事ができる」というイメージを持ってもらえるだけで、社内での発言力が増すからだ。
しかし、ただ早いだけでは認めてもらえない。
「成果を出すためにはどうしたらいいか」という点を意識して、新規企画や改善の提案も積極的に行う。成果が出せれば、社内からの評価もさらに上がる。
会社員というよりは「社内フリーランス」というマインドセットで働いている。
フリーランスは、ちょっとしたことで切られてしまう厳しい世界だ。契約を切られないためには、スピード感のある動きと成果が求められる。
私はスピードと成果を意識して仕事に取り組んでいるおかげで、部署内での発言力はそこそこ高い。
結果、多少のワガママを言っても許される立場を手に入れることができた。
「すみません。あの人とは本当に馬が合わないので、やり取りが少なくなるように業務を切り離してもらえませんか」
上司に、このようなお願いをしたこともある。無事に業務が切り離されてストレスは激減した。
サラリーマンにとっては禁じ手ともいえる方法だが、私としては、高いパフォーマンスを維持するためには必要な措置だった。
もちろん、嫌いな人であっても業務を円滑に進めるために、最低限のやり取りは行う。そうしないと、周りにも迷惑がかかる。
最低限のやり取りだけで済ませられるように、スピードと成果にこだわって仕事を行うのだ。
嫌いな人との接触頻度が減るだけで、日々の幸福度に大きな差が生まれる。
些細なことであっても、毎日積み重なるとダメージが大きくなるものだ。嫌いな人とのやり取りは、少ないに越したことはない。
話をまとめると、
- 職種選び
- 会社選び
- 人間関係
HSS型HSPの暴れ馬な気質を乗りこなすためには、これらのポイントを押さえる必要がある。
簡単にいかない部分もあると思うが、ぜひトライアンドエラーを繰り返しながら、理想の環境に近づけていってほしい。
ふくきた

