10月は、展示会出展のため千葉に来ていた。
毎年10月上旬に、日本最大級のガーデニング・農業関連の展示会が開催される。私が勤めている会社も出展しており、毎年結構なコストをかけて会社や商品をPRしている。
そして、昨年から私がその展示会の仕切り役を務めている。
しかし、私はもともとWeb関連の仕事を長くしていて、展示会に出展した経験などない。
器用になんでもそつなくこなせるタイプでもない。不器用な凡人だ。
ただ、うちの会社は「総合職なのだからなんでもやれ」という文化が根強く残っており、その煽りを受けて私にお鉢が回ってきた。
最初は「はっ!?えっ??」という感じであったが、逃げられる雰囲気ではなかった。サラリーマンの悲しい現実といえる。よく分からないまま、がむしゃらに取り組むしか道はなかった。
しかし、やってみると意外と「はまり役」だった。
こう言ってはなんだが、前任の担当者は企画や調整が得意ではなかったのだろう。
実際に取り組んでみると、これまでの企画や調整が雑だったことに気づいた。社内の期待値もそれほど高くない様子だったので、進めていくうちに「これならやれそう」と思った。
前任者にヒアリングを行い、事前に細かいところを徹底的に詰めていった。そして、前任者は情報共有が遅いタイプだったので、まめに共有するように努めた。かなり大変だったと記憶している。
それでも、私がはじめて担当した昨年は、反省点が30個くらいあったものの来場者からの評判はそれなりによかった。
私はめでたく(心情的にはめでたくないが)今年も展示会の仕切り役を継続することになった。
「仕事の報酬は仕事」と誰かが言っていたが、本当にそんな感じだったと思う。
去年と同じでは芸がないので、今年は昨年の反省点をすべて潰せるようにブラッシュアップを行った。昨年の反省点が多すぎて、改善案を練るのも苦労したものだ。
改善しきれなかった反省点が数個あるものの、格段にクオリティはアップしたと思う。
当日、完成したブースを見たとき胸がアツくなった。
「あー、自分が手がけたブースがこんなによい感じで完成するなんて」
食わず嫌いになってチャレンジしなければ、今回の結果は手に入らなかっただろう。全力で取り組んでよかったと思った。
ブースに来てくださった方からも「年々よくなってる」とお褒めいただいた。ありがたい限りだ。
ただ、冷静になって振り返ってみると、今回の結果を手に入れられたのは、Webディレクターの経験が活きていたように思う。
今まで企画系の仕事はしてきたし、Web戦略では動線設計なども必要になる。外部とのやり取りや社内調整など、今回の展示会業務とWebディレクターの仕事は、転用できるスキルが多かった。
人生、なにが役に立つか分からないものである。
私は、基本的には興味があることに取り組んだほうがいいと思っている。そのほうが効率がよいし、メリットが大きいからだ。
しかし「興味があることしかやらない」というスタンスだと、自分の可能性を狭めてしまう。「やるしかない」というときは、いったん全力で取り組んでみることをおすすめする。
仮に失敗したとしても、全力で取り組むことで多くの気づきが得られる。うまくいった場合は、殻が破れて違った自分を発見できる。
中途半端にやってしまうと、成長の糧になりづらい。どうせやるしかないなら、ベストを尽くしたほうがリターンは大きいだろう。
ぜひ、やるとなったら全力で取り組んでいただきたい。それがあなたの可能性を広げる一歩になるはずだから。
ふくきた

