HSS型HSPが陥る「自己責任マインド」の落とし穴|裁量の差を見極める切り分け方

「それって、あなたの自己責任でしょう」
そう言われて、何も言い返せずに抱え込んでしまった経験はないでしょうか。
HSS型HSPは真面目で責任感が強いぶん、「すべては自己責任」という言葉を素直に受け止めすぎて、メンタルをすり減らしてしまいがちです。
これは私自身の実体験であり、先日個別セッションをした方からも出てきた悩みでもあります。この記事では、自己責任マインドがなぜ行き過ぎてしまうのか、そして消耗せずに向き合う「切り分け方」を、私の体験から解説します。
まずは、こんな心当たりがないか振り返ってみてください。
- ✓自分の裁量を超えたことまで、自分のせいだと感じてしまう
- ✓「自己責任」という言葉を聞くと、反論できず黙り込んでしまう
- ✓頼んでもいないトラブルまで、自分が悪いと抱え込む
- ✓経営者向けの発信を、そのまま自分に当てはめて苦しくなる
- ✓「しゃーない」で済ませることに、強い罪悪感がある
当てはまるほど、「自己責任」という言葉に必要以上に縛られているのかもしれません。
そもそも「責任を取る」とは?
抱えなくていいものまで抱え込まないために、まず「責任を取る」の意味を整理しておきましょう。
ここがずれると、苦しみは無限に増えていきます。
責任とは「問題解決」のこと
「責任を取る」と聞くと、多くの人は「辞任」をイメージします。ニュースで「責任を取って辞めます」というやりとりをよく見るからです。
しかし、責任の本質は辞めることではありません。問題が起きたときに、それを解決することこそが「責任を取る」ということです。
この考え方は、ある経営者の発信を聞いて腑に落ちました。辞めて終わりにするのではなく、目の前の問題を解決し切る。それが責任の正体なのです。
経営は問題解決の連続
企業では、日々なにかしらの問題が起こります。商品へのクレームもあれば、従業員がトラブルを起こすこともあります。
しかも、会社の規模が大きくなるほど、人が増えるぶん問題の量も増えていきます。従業員が何万人もいれば、毎日のようになにかが起こるものです。
問題が大きくなれば、会社が傾くほどの致命傷になりかねません。だからこそ経営者は、そうなる前に手を打ち続けます。経営とは、問題解決の連続なのです。
経営者が「自己責任」と言う理由
自責の対極にあるのが「他責」です。他責とは、問題を自分以外のなにかに押しつけて、解決を放棄している状態ともいえます。
他責思考の経営者は、問題解決を先送りし続け、気づけば致命傷を負って会社を潰します。実際、事業をたたんだ人ほど「コロナのせいで」と、自分以外に責任を転嫁しがちです。
しかし、同じ打撃を受けても、迅速に手を打った店は生き残っています。この差こそが問題解決力です。だからこそ、うまくいく経営者は口を揃えて「すべて自己責任」と言うのです。
「自己責任」は乱暴に使われすぎている
ここまでは、経営者にとっての話です。経営者に自己責任マインドが必要なのは間違いありません。ただ問題は、この言葉が立場を無視して、あなたのような従業員にまで乱暴に押しつけられている点にあります。
経営者と従業員は「裁量」が違う
大前提として、経営者と従業員では「裁量」に大きな差があります。決定できる事柄が、あまりにも違うのです。
従業員は、自分の裁量や権限を超えて意思決定をすることはできません。関わってもいない、権限も及ばないことにまで自己責任を求められても、こじつけに近いはずです。
だからまず、自分が関与できる範囲はどこまでなのかを見極める。これが、消耗しないための最初の一歩になります。
私が「権限外の問題」で消耗した話
私は以前、Webディレクターとしてライターさんを指揮し、恋愛メディアの運用をしていました。チームには、私が採用に関わっていないメンバーもいました。
仕事には向き不向きがあります。とくにSEOライティングは、物事を構造的に考え、論理的で分かりやすい文章を書く力が求められる、向き不向きのはっきり出る仕事です。
これはいわば筋肉のようなものです。普段から論理的・構造的に考える癖のある人はすぐ覚えますが、そうでない人は身につくまで年単位かかることもあります。資質も絡むため、努力だけではどうにもならない部分があるのです。
品質は落とせないので、指摘を重ねます。しかし赤字だらけの原稿が返れば、クリエイター気質の人ほど心が折れます。その気持ちは、私にもよく分かります。
「馬を水辺に連れていけても、水を飲ませることはできない」。結局は本人次第で、他人を変えることはできません。採用から関わっていれば「見る目がなかった」と自分を省みられますが、まったく関与していない人材の問題まで背負うのは、やはり違うのです。
「環境を選んだのは自分」は本当か
こう話すと、「でも、その環境を選んだのは自分じゃないか」という反論が返ってくることがあります。たしかにその通りですが、これにも見落としがあります。
上司も同僚も、自分では選べない
たしかに、その環境を選んだのは自分です。それは誰のせいにもできません。
しかし、会社に入っても、上司も同僚も部下も、自分では選べない人がほとんどです。私たちは、他者がコントロールしてつくった環境に身を置いています。
自分ですべてを構築した環境ではない以上、周りが起こすトラブルまで「すべて自分のせい」とするのは、無理があります。
自己責任と環境要因を切り分ける
もちろん、耐えられなければ辞める自由はあります。しかし、追い込まれているときほど視野は狭くなり、年齢的な制約などで、簡単には踏み出せないこともあります。
自己責任である部分は当然ありながらも、それだけでは解決できない場面が現実にはあります。だからこそ、切り分けて考えたほうがいい。そうしないと、自分を守れなくなってしまうからです。
自己責任を切り分ける3つの視点
では、具体的にどう切り分ければいいのか。
私が実践している3つの視点にまとめます。
①自分の裁量の範囲を見極める
問題が起きたら、まず「これは自分が決定できる範囲のことか」を確認します。権限の外側にあることまで、自分を責める必要はありません。
たとえば、自分が採用していない人材のトラブルは、多くが権限の外です。指導を尽くしても、その人の資質や態度そのものは、こちらが決められる範囲ではありません。
ここに線を引くだけで、抱え込む量はぐっと減ります。
②やり切ったら「しゃーない」と割り切る
自分の裁量の中でやれる施策をすべてやり、それでもダメなら、「これはもう、しゃーない」と割り切ることも必要です。
「自分の力ではどうにもできなかった」と切り分け、そのうえで「じゃあ、どうする」と次の一手に思考を進める。重要なのは、この切り分けた「先」を考えることです。
③発信者の「立場」を確認する
SNSや動画で語られる「自己責任」論は、多くが経営者の立場から発信されています。立場が違えば、条件も、戦い方も違います。
誰が、どんな立場から発信しているのか。そこを意識するだけで、経営者の言葉を鵜呑みにして自分を責めることは、確実に減っていきます。
まとめ|自己責任は「範囲」の見極めが鍵
自己責任というマインドそのものは、とても大切です。
ただ、それを無条件にすべてへ当てはめると、あなたのメンタルをすり減らしてしまいます。
大切なのは、次のポイントを押さえることです。
- 責任の本質は「辞めること」ではなく「問題解決」
- 経営者と従業員では、決定できる裁量の範囲が違う
- 環境を選んだのは自分でも、上司や同僚は選べない
- 裁量の範囲を見極め、やり切った先は「しゃーない」を自分に許す
自分の心の防衛ラインを保つことは、決してわがままではありません。切り分ける力は、あなたが長く働き続けるための、大切な技術です。
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この記事を書いた人
ふくきた|才気道 家元
HSS型HSP当事者。好奇心旺盛なのに繊細、社交的に見えて実は人見知り——いくつもの矛盾した気質を抱えて生きてきました。短期離職や営業職での挫折を重ねるなかで自己理解を深め、今は独自メソッド(才気道)の開発と普及に取り組んでいます。





